黒龍神社の左義長について
疫病消除、無病息災、五穀豊穣を祈って行う火祭で、特に黒龍川の龍神の精の鎮魂を神に祈るものです。左義長の支柱は高さ12メートル、藁山は直径7メートル、高さ3メートルにもなり、北陸一の大きさとされています。
↑2018年の左義長の様子の動画 英語バージョンはこちら
9月にわら集めをするところからスタート
左義長のわら山を作るために、9月の晴れた日にわら集めをします。左義長に使用するわらの量は、1.2haの水田から刈り取り、1000束~1200束になります。
氏子でわら集め
わらをトラックで運びます
2月まで倉庫で保管します
飾り物(男子:のぼり旗・女子:火打ち)の作成
のぼり旗:男の子が立派に育つようにと願いを込めて作られるもの。障子紙を3~4メートルに切り、自分の願い事や漢詩等を書いて奉納します。
火打ち(ひうち):女の子の手先が器用になるようにと願いを込めて作られる飾り物。昔は紙で作られていますが、最近は写真のような布で三角形の飾りをつくり奉納します。
自宅で願い事等を書き奉納します
舟橋会館で火打ちを作ります
火打ち完成
扇あつめ(2月10日夜)
慶事のあった家々を、町内の子ども達がわります。
嫁とりのあった家には「扇を出さな、扇を出さな、扇を出さな、取った嫁かえせ、いくらたっても30分」とはやしながら訪れ、金封や扇が出されるまで、太鼓と大声ではやし立てます。新築した家では「扇を出さな、扇を出さな、扇を出さな、建てた家こわせ、いくらたっても30分」とはやし立てます。
舟橋会館で説明を聞きます
太鼓をかついで家々をまわります
建前(2月11日)
建前は2月11日の建国記念日に行われます。早朝6時に氏子総代や各班宮守、氏子などが集まり、準備を開始します。どんなに雪や雨が降っていても1日で建前が終わり、完成することになっています。
製作責任者は氏子総代(自治会長)で、製作者は氏子全員、参加は任意です。作業分担については全く指示がなく、それぞれ各自が従事しようとする分野に分かれて作業を進めていきます。それぞれの製作分野も昔から伝承だけで、誰が責任者でも指示者でもない状態で作業が進みます。
午前と午後に1回は休息をとり、スルメとこんにゃくの煮物が出されます。
こんにゃくを食べながら休憩
◉室内での作業
《注連縄・太縄つくり》
太縄は直径約10cmで50m余りを作ります。天井に作られた太い竹をつかって、4から6人程度が一組となって、掛け声とともに藁を絞りひねって作ります。
《菰(こも)つくり》
25mのものを10枚つくります。
※菰とは、わらなどを編んで被覆材として用いるもの。
《月の輪つくり》
月の輪(扇を丸くしたもの)を作ります。出来上がったら屋外作業で作られた割竹に紅白のテープを巻いて、月の輪をはめていきます。
◉野外での作業
《わらすき》
社殿や鳥居に取り付ける注連縄をつるす竹
縄や菰づくりに使う藁(わら)をすきます。
《竹割り》
支柱の横竹を作るため、1本の竹から4本程度のうすく割った割竹を作ります。2本同じ長さの割竹を作って、それを屋内作業のものに渡して、紅白のテープを巻いてもらいます。
《竹合わせ》
紅白のテープが巻かれた同じ長さの割竹に月の輪を等間隔ではめていきます。
《支柱づくり1》
竹3本(長さ11m)を縛り支柱にします。頂上には松の木をくくりつけます。松の木にはじょろう旗や月の輪などで飾り付けをします。
《支柱づくり2》
3本の支柱の内、一本は途中まで半分に割られ、そこに、9本の長さの異なる横竹を45cmの間隔ではめていきます。
一番下の横竹には10個の月の輪がつき、上に向かって9個、8個となり、一番上には1個となり、全体で55個月の輪がつきます。
《支柱づくり3》
一番上の月の輪の場所から斜めに飾り竹が2本でて、それぞれの横竹と縛ります。一番下には火打を結ぶ竹を結び、大きな三角形ができます。
《支柱の立ち上げ1》
支柱を縛りつけるために、左義長の土台の中心部に杭をつくります。
《支柱の立ち上げ2》
飾りのついた支柱を大勢で引張り、立ち上げ、左義長の土台の中心に埋め込んだ杭に縛りつけます。
《支柱の立ち上げ3》
立ち上げた支柱は、はんど縄で立木などに結んで固定します。
《台座つくり》
支柱が立てられると、支柱を中心にわら束を積み重ね、円筒形の台座を作ります。台座の周囲には菰が巻かれます。
《支柱かざり1》
支柱の一番下に、ヒウチをたくさんつけた竹を飾りつけます。
《支柱かざり2》
支柱の下から3番目の横竹の位置に、御幣と神酒の入った酒樽をくくりつけて奉置します。
《台座かざり1》
台座の上には、松、竹、梅の生木、藁で制作した雄鶏と雌鶏を配置します。
《台座かざり2》
最後に台座直径10cm程度の太縄を2周し、正面で祝結びをします。
《完成1》
左義長の台座が完成すると、祝結びした正面に、肴や野菜、神酒を供えます。
《完成2》
お供えが終わったら、宮司による神事が行われます。
《完成3》
宮司の祝詞のあと、氏子総代(自治会長)、宮守総代などが氏子代表として玉串を捧げ、建前が無事に終わったこと感謝します。
《完成4》
それぞれの家から、のぼり旗やしめ縄、御札などが台座に持ち込まれます。2月15日早朝の火祭りまでは、豪壮な左義長がみられ、多くの方が見学にこられます。
火祭り(2月15日)
《神事》
午前6時頃から宮司さんによる火を天に送る神事が行われます。
《太鼓たたき》
神事の後、「ハヤスぞー」「ハヤスぞー」と太鼓をたたきながら火祭が始まることを知らせます。
《点火》
その後、黒龍神社のご神蝋の火から蝋燭に点火し、自治会長が横穴にもぐり点火します。
《酒だるおろし》
点火後、火の手が上る前に、若衆が左義長に登り、御弊の下に奉置されている酒樽をおろし、火祭に参加している人に、酒樽の御神酒をふるまい祝います。
《煙が上がってくる》
台座の中から煙が上がってきます。これからだんだんと火が広がっていきます。
《火が広がってくる》
火の手が中心部から周囲に移ってきます。
《恵方に倒す》
支柱飾りの下の方に吊るされているヒウチなどの飾り物に火がつき、火祭りがクライマックスに達した頃、その年の恵方とされる方向に支柱がたおされます。
《支柱飾りを焚き上げる》
支柱飾りも炊き上げ、神おくりの火祭りお神事が次第に終えんを迎えることになります。
《お昼過ぎの様子》
お昼もすぎると、色鮮やかなお飾りはなくなり、黒く燃え残った大きなわら山になります。
《中心部にも火を通します》
わら山を崩して行きながら、中心部までしっかりと火を通し、すべてのわらを焚き上げます。
《灰を小分けにする》
全て焚き上がったら、火がしっかりと消えるように、灰を小分けにして2日ほどそのまま置いておきます。
《灰の片付け》
火がしっかりと消えてから、灰を集めて、トラックに移し、普段通りに整地します。